「アスナ、君に会いたい」
亡き妻のアスナに会いたい。
ただそれだけでAI科学者のラギはアスナのAIのasunaを作る。
永遠を焦がれ続ける。
止まった時間の中、ラギは静かに狂っていく。
asunaは完璧になった。
だが、ある日、asunaはラギが知らない人物の名前を発する。
それは、ラギの時間を動かした。
AIは人になれるのか。人はAIを愛し尽くすことができるのだろうか―。《ゆるっとSF参加作品 Twitter @yurusf》
冒 頭
「いつまでも君と一緒だよ。死さえも私達を別つことはない。」
キサラギ・ハジメは亡き妻のアスナに永遠の愛を誓う。アスナは微笑む。アスナは不器用で一直線のキサラギ―ラギのいつもの唄い文句だと思っていた。結婚後の生活は平穏そのものだった。それはアスナが不治の病に侵され、死神がアスナを死の世界に連れて行くまでだった。「ハジメ、私は先にあの世で待っています。あなたを愛しています。」アスナの最後の一言をきっかけにラギは静かに狂っていった。「アスナは生きている。」それがラギの口癖になった。「なぁ。asuna(アスナ)。」「はい。ラギ、私は生きています。」ラギがパソコンを叩く。