◆あらすじ◆
「お前は幼い鳥の命のようだな」
鳥子(ちょうし)と名付けられた青年楽士は、主人の命じるままに琴を爪弾く。
平原を想えば平原を。
夕陽を想えば夕陽を。
彼の琴は奏でていく。
故郷の友に思いを馳せる彼は、自分の琴の腕を買い、都に連れ出した主人に憎しみを感じていた、はずだった。
互いに心を明かさぬまま、やがて嵐はやってくる。
虫の声が響き渡る夏の夜、主人は「話がある」と部屋に訪れて――。
美しい庭園と、琴の音に乗せた不器用な心情を、お楽しみください。
故事「知音」をアレンジした小説です。
中華風ですが専門用語は出てきません。自然豊かな昔の中国(三国無双やレッドクリフから戦争を引いた感じで)をぼんやり思い描きながら読んでいただければ幸いです。
※完売のため、装丁・ページ数・価格を変更した新版を発行する予定です。