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くわしくは第6回 Text-Revolutions公式Webサイトをご覧ください。(入場無料!)

【代行非対応】Heavenly Blue

  • F-03 (ファンタジー)
  • へぶんりーぶるー
  • 天海六花
  • 書籍|新書判
  • 146ページ
  • 700円
  • http://lyufayran.holy.jp/
  • 2015/8/14(金)発行
  • 恋愛青春そして異端の物語。
    禍人(まがひと)と呼ばれる超常能力を備えた者達がいた。
    少女は特異な施設で、導かれるように少年に出会い、
    そして波乱の運命に立ち向かっていく。
    「僕を呼んだのはお前?」

    【ゴブガリ企画参加作品】

    ------------------------------------------------------------------

     シャーリーが怪しい男たちに囚われ、謎の施設に収容されて、何日目だろうか。毎日調査と称して血を抜かれたり、電極を貼った体を、何やら金属の棒やピンセットのようなものでいじられたりと、よく分からない人体実験を繰り返される。

     一つ分かったことは、ここは禍人と呼ばれる異能力者たちが捕らえられる禍人収容施設、通称ラボラトリーだということだ。

     シャーリーには禍人である自覚などない。だがラボの研究員たちは、シャーリーを禍人として扱う。無論、単身で逃げ出すことなどできない監視の毎日だ。

     快活だったシャーリーの気持ちは、すぐに淀んだネガティブなものに変わっていった。

     昨日など、意識を失うほど大掛かりな実験をされた。その後から、全身がとてつもない倦怠感で蝕まれている。よって、シャーリーは今朝から、与えられた独房のベッドでだらりと体を横たえていた。

    「お母さん、お父さんも……心配してるだろうな……」

     瞼に浮かぶ両親の姿を思い浮かべ、シャーリーは小さく鼻を鳴らす。泣きたいのに涙が出ないのだ。悲しみや寂しさは、彼女の限界を越えてしまったらしい。

    「わたし、禍人なんかじゃないのに」

     唯一、独房内では自由に振る舞える。シャーリーはゆっくり体を起こして、部屋の隅に設置された給水器から、水をプラスティックのコップに入れて飲み干した。そのままそこへ座り込む。

    「昨日の実験、何をされたのかしら? こんなに体がだるいなんて」

     コップを給水器の上に置き、シャーリーは狭い独房内を見渡す。

     硬いベッドと、衝立の向こうにはトイレ、ドア横の給水器、今朝の朝食の空トレイ。唯一の出入口は電子ロックのカード認証式で、内側からは開けられない。それだけが今、室内にあるものだ。外を見るための窓もない。

     シャーリーはベッドの端に座り、再び体を投げ出した。

    「寝ちゃおうかな……どうせまた、調査とかって突然呼びにくるだけだろうし」

     瞼を閉じ、意識を徐々に沈めていく最中(さなか)だった。

     出入口が機械音と共に開いた。

     

     また調査かと、ゆっくり瞼を開くと、そこにはいつもの白衣を着た研究員ではなく、見知らぬ少年が立っていた。

     いや、たしかこの少年は、シャーリーを路地裏で捕まえた少年だったはず。

     また乱暴されるのかと、シャーリーは身を固くした。

    「寝てるの?」

     少年は不思議そうに首を傾けてシャーリーを見ている。まるで邪気の感じられない屈託ない青い瞳は、まっすぐシャーリーを映している。

    「な、何ですか? また調査の時間ですか?」

    「違うよ。誰かに呼ばれた気がしたから来ただけ。お前が僕を呼んだの?」

     少年はズカズカと無遠慮に室内へと入ってくる。そしてシャーリーの前で立ち止まった。

    「僕を呼んだでしょ? 用は何?」

    「わ、わたしは別にあなたを呼んでなんか……」

    「嘘だ。頭の中に直接声を響かせて、僕を呼んだのはお前だ」

     少年が断定する。しかしシャーリーは反論した。

    「わたし、呼んでません」

    「呼んだ」

    「呼んでないわ」

    「呼んだじゃん」

    「もうっ! 呼んでないってば」

    「呼ばれなきゃ来ないよ!」

     呼ぶだの呼ばないだの、無意味な押し問答が続き、最初に飽きたのは彼だった。

    「もういいや。面倒くさい」

     少年は断りもなしにシャーリーの隣へストンと座る。シャーリーは驚いて身を引いた。

    「な、なんなの、あなた?」

    「僕? 僕はノエル。お前はシャーリーだっけ?」

    「名前を聞いた訳じゃなくて……」

     シャーリーはノエルを恐る恐る見つめながら、ぐっと口を閉ざす。

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