「和装美青年」VS「おっさん国家公務員」の駆け引きと心の交流を描く、理系っぽいオカルト短編。
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ある冬の日。「先見(未来予知)」の特殊能力を持つ青年、橘領斗織(きつりょうとおる)のもとへ、宮内庁から男がやってきた。
国家の危機を予知して欲しいと頼みに来た男を、始め斗織は追い返そうとしたが、存外喰えない男に面白みを感じて先見を引き受ける。
山奥の屋敷で幽閉同然の暮らしを送っている斗織が対価に求めたのは「ファストフード店のハンバーガー」。この取引は斗織にとってある種の賭けだった。
何故ならば、「先見」は彼にとって「命」を削る行為だったのだ。
第五回テキレボアンソロ「テーマ:嘘」に提出した作品「偽りを重ねて明日を望む」の橘領視点の物語。アンソロ提出分も再録してあります。