ジョシダイセーで、 ぼくの家に下宿してる。
ビーフシチューにレモネード、 パウンドケーキや肉じゃが、
それからなんて言ったって、おむすび。
りっちゃんの作るものはどれもおいしい。 でも、カレシができてから なんだか様子がヘンで……
これはなんのヘンテツもない ぼくとりっちゃんと、 ごはんの物語。
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小さな“ぼく”が家に下宿しているジョシダイセーのりっちゃんに想いを寄せる短編連作です。
ふいんき(変換できない)サンプルは以下の通りです。
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きれいに洗った手に、塩をつける。
そこから決して躊躇をしない。
つやつやで、あつあつのお米を掌にひともり。
そこから三度、きゅっ、きゅっ、きゅっ。
それでおむすびのできあがり。
「さあ、召し上がれ」
りっちゃんは、おむすびのふたつのったお皿をさしだした。
僕は鼻を鳴らし、ひとつ手にとりひとくち食べる。噛む度、きらきらと、やさしい力が流れ込む。
炊きたてのお米は一粒一粒たっていて、ほんのり甘い。そこにほどよい塩加減。僕は夢中でふたつ食べきった。
りっちゃんは、うちに下宿するいとこのおねえちゃん。時々こうしておむすびを作ってくれる。
「友達と、仲直りできそう?」
聞かれて大きく頷くと、りっちゃんは嬉しそうに笑った。
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(『りっちゃんのおにぎり』――初出:俺のグルメFESTIVAL、本作へ再録予定)