ひとまちばな

• 委託-01 (BL)
• ひとまちばな
• 唄
• 書籍|文庫判(A6)
• 212ページ
• 1,300円
• 2016/1/10(日)発行

• 和風かつ、伝奇風。

  和風小説MAP様参加作品。
  架空の村を舞台にした創作BLです。成人向け。
  青年×青年。両片思いがテーマの攻視点。
  

  時代に取り残された場所で出会った二人の物語。
  古いしきたりや儀式などを中心にお話が進みます。
  

  購入分に登場人物紹介の名刺カードが付いています。
  栞としてお使いください。
  字組サンプルはこちら
  

  
  

  「穢溜めはね、この村の厄災を吸う者とされていて、穢流しは溜まった厄災を消してくれるとされているのよ。信じがたいのは分かっています。けれど、古い人たちがどういう思いで信仰を続けているかは二人とも分かってくれるわよね？」
  「形だけでもそうなっている、と見なければ恐ろしいわけですか」
  「そんなもの、かしら。農作物が駄目になってしまったり、家畜が襲われてしまったりを怖がるのは人間の本能なのかもしれないわね」
  　深司が美里の話に口を出したが、彼女の口はこれを是とも非とも言わぬ形で返した。
  　民俗学などに造詣が深いわけではないが、歴史が深くなればなるほど、自然信仰などの内部にそういったものは多く、また、やれ生贄だのと嫌な響きも耳にするものだ。それを考えれば随分優しい信仰ではないか。少なくとも、宮司の一族と出仕が一人づつ共にいればよいのだ。

  ～『ひとまちばな』より抜粋
  

  
  

  表紙/挿絵:ヤサカチドリ