「青」は好きですか?
複数人が何かを思い浮かべるとき、それが細部まで完全に同じということは少ないでしょう。
例えば1文字をとっても、想像は無限に広がっていくはずです。
今回、私たちは「青」という色をテーマに筆を執りました。
現代青春、ワールドエンド、童話……
原稿をいただいたとき、「青でこんな話ができるとは!」と感嘆した作品ばかりです。
珠玉の五編を詰め込んだ合同小説誌
【サイネリア】
を是非お楽しみください。
各話タイトルに使用している紙は、話のイメージから想像した青色の紙を選びに選び抜いたものです。
※袋とじコピー本となっております。ご了承ください。
※画像はカラーを使用しておりますが、実際の頒布物は青い紙にモノクロで印刷をしております。
★こんなお話です一覧★(作品名/作者敬称略)
レイン・ブルー・ユース/風月 或
雨の中を『僕』はずぶ濡れになりながらも走る。
転がり落ちた土手で空を見上げながら、痛みを噛みしめる『僕』は思い返した。
――こんな姿、誰にも見られたくはない。
(本文より引用)
雨にまつわる恋のお話です。
蒼い竜とお姫様の話/森野いづみ
山奥の洞窟に、一匹の蒼い竜がいます。
悪しき邪竜として過ごす彼が、一人のお姫様をさらってきましたとさ。
だけど勝手気ままな人質のお姫様は、竜に要求し放題。
「……竜さんに泣かされました。責任とってください」
(本文より引用)
暖かく優しい、人外の竜と少女のお話です。
青は燃えてるか/思案間善太
運び屋ヴェルの休日に、突然の依頼が舞い込んだ。
新鋭の画家ロナウド=マークソンの個展帰りに粉物を取り扱う組織の片付けを引き受けたヴェルは、仕事仲間のエレトリカと共に清掃場所へと向かうが、そこで遭遇する出来事とは――。
色彩豊かな青い絵画の中、
ただ一枚、
その一枚だけが爽やかさとは遠くかけ離れた暗い海だった。
(本文より引用)
重厚な文章が印象的な、何とも言えない余韻を残すお話です。
雨を呼ぶ姉妹/黒猫千鶴
肺が砂となって消えてゆく、治療法のない病に侵された妹、シズクのために姉、イズモは何かできないか探し始める。突然声をかけられた少年から「奇病を治す花の種」を託されて――。
「絵本みたいに、皆が幸せになれればいいのに……」
(本文より引用)
心の中に沁み込んでくるような柔らかさを持つ、優しい優しいお話です。
終わる世界と最後の歯車/小鳥遊キョウ
少女セシリオが目覚めたのは、雪の降り続ける何もない世界でした。
傍らには無愛想な青年、ウィリアムがいるだけ。記憶もなく、手掛かりすら残っていません。
一日、また一日、永遠に雪の降り続ける世界を生きるセシリオとウィリアム。
最後にセシリオが知る真実とは――。
「セシリオ、君のために、おれは生まれた」
(本文より引用)
『俺の好きを喰らってくれ!』をやりました。よろしくお願いします。
URLに試し読みのリンクがございますが、こちらにもご用意してございます。
サイネリア試し読みページはこちらよろしくお願いいたします!