■48頁・2段組
■3編の現代日本を舞台にした小説からなる短編集です。コンプレックスを抱えた女性(アラサーと小学生とアラフォー)の懊悩と、それぞれの小さな一歩の物語たち。
(いずれの作品もWeb及び地元新聞社発行文芸雑誌からの再録(加筆修正あり)となります)
■雨降って、
緑子は歩いていた。茶屋街の石畳を緩やかに進む、従姉・桜子の花嫁道中の中ほどを。
ただでさえ雨の多い金沢の梅雨。遠くに雨雲は見えるものの、まだこちらには届いていない。
歩を進めるうちに……理由あって疎遠だった親戚たちに行く先々で声をかけられるうちに、再びくすぶり始める「思い」。
その足は自然と、ある場所へ向かい――秘めていた「思い」は、膨れ上がる。
「みなさん、兼六園の一番の見頃はいつだと思いますか?」
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http://privatter.net/p/1846133
■星の音見つけて
一週間後に今年最後のコンクールを控え、熱が入る小学校の金管クラブ。
しかし、カウベル担当のみこっちは毎日毎日失敗続き。そしてやっぱり今日も大失敗。
そんな彼女に顧問のホソマキが、ついに……?
「なぁ、みこっち。先生なら、本当にダメな子にはこの曲のカウベルは任せないぞ」
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http://privatter.net/p/1871310
■アマヤドリズム
高校受験に失敗し、音楽家の道を諦めて十数年。何にも興味を持てぬまま、鬱々と生活するだけの日々。
仕事(の逃避)で訪れた田舎で雨に降られて駆け込んだバス停で巻き込まれた、小さな小さな、それは奇跡。
「おばさ、じゃなくて、おねーさん、ピアノでもやってたの?」
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http://privatter.net/p/1871344