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ペルセウスの旅人

  • い-02 (小説|SF)
  • ぺるせうすのたびびと
  • 佐々木海月
  • 書籍|文庫判(A6)
  • 176ページ
  • 600円
  • 2017/08/27(日)発行
  • 「誰もが、誰かの言葉を運び、伝えるのです」

    夜と夜の間を渡っていく孤独な旅人「ローレン」。
    相棒のフクロウとともに旅をする薬師の青年「ユーサリ」。
     二人の「星の旅人」の物語。

    Twitterでお題を募集して掌編を書かせていただいた「天体お題」シリーズと、2014年発行の本「Milkomeda」からの再録を中心に、ひとつの物語として再構成した短編集です。

    試し読み:導入と、ひとつめの短編
    http://rosette-nebula.boy.jp/europa/02_books/sumple_book07.html

    --------------------
    (本文より)

     夜空を見上げた。

     雪は絶え間なく螺旋を描き、じっと見ていると眩暈がした。
     その隙間を、小さな光がいくつも揺らめきながら横切っていく。
     渡り星、と。
     僕は、呟いた。
     あの小さな光のひとつひとつが、誰かの言葉と想いを運んでいる。雪に反射して、硝子屑のように細やかな光を散らしている。
    「ああ、あれはね」
     と、彼は言う。
    「先を急ぐ渡り星だよ。誰か死んだんだろう。そうでなければ、雪の晩に、星なんて」
     彼は僕を小屋の中に招き入れた。草ぶき屋根の小さな小屋だった。彼は雪に似た銀色の髪と、鯨の故郷のような青い目をした青年だった。柄織の敷物の上に腰を下ろし、キセルを手にゆっくりと煙を吐き出していた。傍らには、年老いたフクロウが彼に寄りかかるようにして眠っていた。
    「しばらく休んでいけばいいよ。この雪では、先を急いだところでどこにも辿り着けない。たまにいるんだ、君みたいに無謀な人」

     これは、彼が雪の晩の退屈しのぎにと話してくれた物語だ。
     遠い昔のことのようでもあり、
     ついこの間の出来事という風でもあり、
     あるいは遠い未来の物語なのかもしれなかった。
     また、僕が決して辿り着けない遠い場所の出来事かもしれず、
     この森を超えたすぐのところの出来事のようにも思われた。

    「どちらでも構わないよ。物語は言葉で、言葉は何億年も、
    何億光年も旅をすることができるのだから」

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