【イチオシ本】
――どこからが空か、だって?
ばか言っちゃいけない、
ここだって、立派な空さ。
かつて、世界には魔法があった。魔法という言葉だけがなかった。
古い魔法文明の時代に興った崖の国。かつてはあまたの魔法使いを有し、複雑で高度な魔法が込められた道具を所有していたが、魔法文明が衰退し、代わりに機械文明が発達するに従って、魔法は限られた人々のためのものになっていた。
今では魔法を使える者も少なくなり、魔法の素質とともに重い障害を持って生まれる者ばかりになった。魔法使いたちは「特区」に集められ、国の保護・監視下に置かれている。
ミルッヒもまた、特区に住む魔法使いの一人。
白い肌に白い髪、太陽の光を浴びることのできないミルッヒだが、厚いローブと日傘で身を守り、市街地へ花を売りに出かけるのだった。
お使いの最中で出会った、機械工の少年・ベルトゥリ。
得意先であるグレニッツ商会で働く彼は、飛行機械を作って空を飛ぶのが夢だと語る。
ベルトゥリの素直さ、朗らかさにミルッヒは強く惹かれるが、彼の抱く理想が眩しすぎて素直になれない。
一方、市中では魔法使いが続けて殺されるという事件が発生していたが、捜査は難航し、魔法使いたちは特区に閉じ込められる。
そんな中、グレニッツ商会のライバルであるエーテン・セヴンス社が馬車に代わる新しい乗り物「自動車」のお披露目を行うと発表する――。
旧いものと新しいものが交差する世界での爽やか(?)ボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー。スチームパンク風味のファンタジーです。本編に加え、親世代の話、後日譚などの番外編3話を収録。
※2013年発行、初版完売ののち改稿・判型変更した第二版です。
カクヨムにて旧版を全編公開しています。
※残部少なくなっております。お求めの方はお早めにどうぞ。(お取り置きも承ります)