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エモーショナル・サイオニック

  • 委託-07 (小説|ファンタジー・幻想文学)
  • えもーしょなるさいおにっく
  • 野間みつね
  • 書籍|A5
  • 92ページ
  • 450円
  • 2013/11/30(土)発行

  • 好い加減にしろっ! でっち上げた大量殺人とやらを俺の仕業だとその若者に吹き込んで、俺を殺させようと目論んだんだろうがッ!


     銀河連邦の植民惑星間を航行する旅客船フェントーク号が、バニラ星上空で原因不明の操船不能に陥り、墜落──挙式間近の婚約者フィアンセをこの事故で喪ったジュード・ナリタ青年は、だが、それが事故ではなく、二百年以上も生きている伝説の超能力者レジェンダリィ・サイオニッククレイン・ロードにより人為的に引き起こされたものだと証し立てる映像を見せられる……

     野間みつねが中学~高校時代に書き散らしていた『レジェンダリィ・クレイン』──未来世界で生きる超絶超能力者クレインこと頼山紀博よりやまのりひろ青年が主人公のシリーズから一作品を選び、大幅に加筆改稿。書き下ろし番外編「異動」も収録。

     === 以下抜粋 ===

    「──ッ!」
     狙いはあながち的外れではなかったらしく、相手がカッとなったらしき気配が、初めて感じ取れた。
    〈この野郎、そんなに死に急ぎたいかッ!!〉
     凶暴なテレパシーの〝大音声だいおんじょう〟が、体全体を乱打する勢いで浴びせられる。頼山紀博は反射的に全方位防壁バリアを張った。その判断は正しかったが、相手の攻撃エネルギーの方が、防御エネルギーを上回った。衝撃で弾き飛ばされ、地面に叩き付けられる。
    「くっ……」
     ダメージは大きかったが、意識は失わずに済む。痛みに呻きながらもどうにか身を起こし、立ち上がりかけたところで、何者かの腕が背後から首に掛かった。
     強烈な絞め上げに遭って、超能力の行使に必要な集中が途切れそうになる。
     だが、体が接触したことで、相手の情報の読み取りが可能になった。この相手が何者なのか、そして、何故自分を狙うのか。
    (……ジュード・ナリタ……二十五歳……ロキシード・コンツェルン……超能力者サイオニック……三か月で……開発……?)
     三か月、というキーワードが、何故か奇妙に引っ掛かる。〝三か月前のことを自分の胸に訊け〟というジュード青年の言葉。問題とされている旅客船の墜落事故も三か月前。そして、今相手と接触して読み取った、超能力開発期間が三か月、という情報。
    「貴様がエセルを殺した──だから俺が貴様を殺す!」
     憎悪にまみれた掠れ声が背後から耳を刺す。接触したことで、声を殺す必要がなくなったと判断したか。
     まともに首を絞められないよう辛うじて念動能力サイコキネシスで押しとどめている紀博であったが、相手が腕力と併用してくる念動力も相当なものだ。この状態のままで踏ん張り続けるのは難しく、これ以上接触を許しておくのは危険だ。
     とは言え、ロキシードに騙されて利用されているのではないかとおぼしき相手を、このまま手加減なく返り討ちにしてしまうのも憚られる。
     ならば、死なせない程度に反撃を仕掛けてみよう。
     気持ちを固めて、強烈な、しかし充分に手加減した高熱放射を喰らわせようとした瞬間、
    「──いかん、離れろジュード君!!」
     不意に、第三者の声がした。構わず力を放出したが、相手は寸前に飛び離れた。
     この場に、自分と相手以外に、まだ誰か居たのか。
     息荒くも体勢を立て直した紀博は、声の聞こえてきた方に意識を向けた。左手斜め前方に、さっきまで欠片かけらも感じ取れなかった気配が、明らかに感じ取れる。……いや、既に隠れようとしていないことが、ありありと伝わってくる。
    「流石はクレイン、そう簡単には倒れてはくれんな」
     苦笑混じりに掛けられた声は、若いとは言えないが高齢ではなさそうな男のものであった。視力が回復していない現状では相手の姿は確かめられないが、何処か記憶層を刺激してくる声だ。
    「貴様も……ロキシードのサイオニックか?」
    「ジュード君ほどの総合力は持ち合わせていないがね」
     含み笑うような答が返ってくる。

         ───「第二章 記憶」より

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