「未帰還機は…殿下…」
「何だ」
「副官殿が…トマス殿が帰還しておりません…」
かたんと音を立てて何かが総裁の机から落ちていった。
「そんな」
「遺伝子マーカーは反応しています。ですが…探索機を出す事は…」
「解った…」
解りたくない、けれど…一人のために大勢を犠牲にするわけにはいかない。
「探索は…ティモシー、おまえが行け」
トマスの従卒に命じた。ティモシーという名字の若者だ。
「探索にさける人数は三人だ。それ以上は必要ない」
「了解しました」
「小型艇を残し、後は全軍、ここからワープする。政府に報告する義務がある」
「はい…」
「艦長」