【代行非対象】【おじコレ専用】ダランドー叔父様との思い出

• A-13〜14 (ファンタジー)
• だらんどーおじさまとのおもいで
• 野間みつね
• その他
• 7ページ
• https://plag.me/p/textrevo05/…
• 2013/7/13(土)発行
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  ……ミグには、此処へ入る勇気はあるかい？

  
  　架空世界の歴史群像劇『ミディアミルド物語』の(多分)ヒロインのひとりであるミグ・ローリア。
  　年を取るのにヒト族(フォノーネ)の倍の年月を要する長寿族リュカオーネである彼女が、レーナの予言者となるよりも遙か以前、生まれ育った里で暮らしていた頃の思い出。
  
  　こちらは『ミディアミルド物語外伝集』第五集『レーナから来た青年』から、「伯父／叔父コレクション」参加作品である「ダランドー叔父様との思い出」のみを切り出して抜粋を紹介するアイテムです。なので、これだけをお買い求めいただくことは不可能です(汗)。悪しからず御了承ください。
  
  　=== 以下抜粋 ===
  
  　リール叔母《おば》様《さま》が亡くなってから暫《しばら》く、ダランドー叔父《おじ》様《さま》は里に留まっていた。
  　私は叔父様のことが大好きだったので、叔母様の死はともかくとして、嬉しかった。
  　叔父様は私にとって、友人にも似た存在だった。当時の私は、ひと月ほど前にようやく十歳になったばかりの子供でしかなく、里の外へ出たことは一度もなかった。そんな私に、外の世界の様々なことを教えてくれるのが、ダランドー叔父様だった。父様《とうさま》、母様《かあさま》、族長様、その他、誰ひとりとして教えてくれないことを。
  「やあ、ミグか。こっちへおいで」
  　私がその日、リール叔母様の住んでいた家へ行くと、叔父様は愛用の背嚢《はいのう》に荷物を詰めていた手を止め、私を手招いた。……現在では私に対しても丁寧《ていねい》な話し方をする叔父様だが、私が幼い頃《ころ》には、こんな風《ふう》に気さくな口《く》調《ちょう》で話し掛けてくれていたのだ。
  「もう行っちゃうの？」
  　私は、叔父様の方へ歩きながら、その古ぼけた背嚢を見て情けない声を上げた。
  「ああ。里に長《なが》居《い》は出来ないからね」
  「どうしてできないの？」
  「私は、ひとつ所《ところ》に長くは留まれない人間《リュカオーネ》として生まれ付いているんだよ」
  　ダランドー叔父様は、私の他の叔父様達──父の異母妹《いもうと》コーデリカ叔母様の夫であるルーイ叔父様や、母の異母弟《おとうと》であるディロン叔父様とは異なり、私に向かって自分のことを「叔父さんは……」と言わない。それは、取りも直さず、私を──フォノーネ目には四、五歳の幼児にしか見えない子供を、姪《めい》としてよりもひとりの対等な相手として扱ってくれている証《あかし》であった。
  「私をひとつ所に留まらせることが出来るとしたら、それは、本当に私のことを必要としている相手だけじゃないかと思う」
  
  　　　　　───「ダランドー叔父様との思い出」より