私たちはみんな不器用だったけれど、他人の心の柔らかいところに触れないようにして生きていくのだけは、他のどんな子供たちよりも上手だった――。
童話「白雪姫」の舞台を現代に移し替え、両親からの虐待や義理の兄との歪な愛情の中で育った少女・雪が、愛とは何か、生きるとは何かを見つめ直し、震えながら外の世界に一歩踏み出す物語。
(※アンソロジー『散歩と遺体』寄稿作品「さようなら、白雪姫」を改題、改稿した再録本です)
あまりライトなお話ではないのですが、その分情景が美しくあるように、生きるということが恐ろしくともつらくとも、美しいものであるようにと心を砕いて書きました。